香川県高松市屋島の蒲生海岸でマイクロプラスチックの回収を実施
| ブログ
香川県高松市屋島地区の山と海のごみ問題をテーマに活動にするYashima Blue Activity(屋島ブルーアクティビティ)。
屋島の西側にある蒲生海岸で、世界的に問題になっているマイクロプラスチックの回収にチャレンジしました。
Yashima Blue Activityは、瀬戸内海国立公園屋島の登山道・遍路道・スカイウェイ・周囲の海岸などのごみ問題を考察し、クリーンアップなどを通じて解決への道筋をつけることを目的に2018年6月に設立。
GOFIELDの会長森田も発起人の1人として活動しています。
2018年11月23日(金・祝)には屋島の西側にある蒲生海岸でクリーンアップを実施。
Yashima Blue Activityのドレスコードはブルー。Tシャツやアウター、ストール、帽子など思い思いにブルーを身に着けた20人が集まりました。
蒲生海岸は春日川、詰田川、新川の3つの河川の河口にあります。3つの河川の流域は高松市木太町・三条・太田、高松市南部、三木町など広範囲。海岸には街から流入したごみや、海流で運ばれてきたごみが集まります。
5日前に念入りな清掃活動が行われたそうで、大きなごみは撤去されていました。
しかし、海岸をざっと見ただけでは気がつかない小さなごみが隠れています。
それが「マイクロプラスチック」です。
マイクロプラスチックは汚染物質の運び屋になっています
マイクロプラスチックとは5mm以下のプラスチックの総称で使われている言葉です。
1次マイクロプラスチックと2次マイクロプラスチックの2種類があります。
1次マイクロプラスチックは、製造された時点で5 mm以下の小さなプラスチックのこと。
洗顔料や歯磨き粉などには汚れを落とすためにプラスチック製のマイクロビーズがよく使われていて、排水溝から下水に流れて海に入ります。
2次マイクロプラスチックは、プラスチックが劣化して発生。
海を漂流したり海岸に打ち上げられたプラスチックは、紫外線や高温にさらされて脆くなり、やがてバラバラに小さくなります。
マイクロプラスチックを海洋生物が誤って食べると、消化不良や栄養失調などの物理的なダメージが起きます。
しかしもっと怖いのは、マイクロプラスチックが海を漂流している間に表面に残留性有機汚染物質(POPs)(*1)を吸着すること。その濃度は海水より数10万~100万倍に達することも。マイクロプラスチックが汚染物質の「運び屋」になっているのです。
海に入ったマイクロプラスチックを除去する有効な手段は今のところありません。
この日のYashima Blue Activityでは“最新”の方法でマイクロプラスチックの回収にチャレンジ。
用意するものはバケツと網とトレー。この3つです。
木くずと砂に混ざるマイクロプラスチック
海岸を観察すると、砂浜に一本、二本と木くずが集まった筋が付いています。これは満潮や大潮のときに波が寄せてできたごみの筋です。
木くずを除いて下の砂をすくい、海水をいれたバケツに投入。
ぐるぐる混ぜると上に小さなプラスチック片が浮いてきます。これがマイクロプラスチックです。
もとは何だったのか分からなくなってしまった破片。農業用の肥料カプセル。プラスチックの原料である円盤型のレジンペレットなど。
ほんの一握りの砂からマイクロプラスチックを取り除くのも一苦労。
世界中の海岸のマイクロプラスチックを回収しようと思うと気が遠くなります。海に漂流しているマイクロプラスチックや、海底に沈んでいるマイクロプラスチックもあるのです。
最後に、今日の気付きを発表し合いました。
「ポイ捨てしようと思わなくても、飛んでいってしまうごみもあるので気をつけたい。」
「海ごみに興味がない人に、どう興味を持ってもらうかが課題だと思う。」
「自分の住んでいる場所だからきれいにしたい。続けて参加したい。」
一度海に出てしまったマイクロプラスチックを完全に除去するのは不可能でしょう。
これ以上増やさないために、
「ごみを出さないこと」「使い捨てプラスチックをなるべく使わないこと」「プラスチック製品自体を減らすこと」が大切だと改めて感じました。
Yashima Blue Activityはこれからも瀬戸内海国立公園 屋島地区のごみ問題に取り組んでいきます。
(*1)残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)
ダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、DDTなどの化学物質。環境中で分解されにくく、生物体内に蓄積しやすく、地球上で長距離を移動し遠い国の環境にも影響を及ぼすおそれがある。
(環境省https://www.env.go.jp/chemi/pops/pamph/pdf/all.pdf)
関連サイト
- Yashima Blue Activity(屋島ブルーアクティビティ)Facebookページ
- せとうちクリーンアップフォーラム「水田で使われたポリエチレン製の肥料カプセルが大量に海に流出している現実」
- 「海洋マイクロプラスチックの研究」国立大学法人愛媛大学 日向博文教授
- International Pellet Wachi Japan「プラスチックの時代からの脱却を」東京農工大学 高田秀重教授
- 環境省 POPs 残留性有機汚染物質