「美しい海を瀬戸内から」会長森田の里海活動の中間報告 vol.01

穏やかな瀬戸内海の眺めは、住む人も訪れる人も魅了する香川県の風景の一つ。
そんな美しいはずの海は深刻なごみ問題を抱えていました。
10年以上前に始めたビーチクリーンアップの小さな活動が、いま香川県全体に広がっています。


ビーチクリーンアップ

香川県の里海づくりの活動が新聞で大きく紹介されました


四国新聞に掲載「始めよう!『里海』活動」

2018年7月29日(日)四国新聞の一面に「始めよう!『里海』活動」と題し、海でのさまざま体験をとおして里海の大切さを学ぶ活動が紹介されました。

人と自然が共生する持続可能な豊かな海を目指し、山・川・里(まち)・海を一体的に保全・活用していく取り組みが「里海づくり」です。
香川県と香川大学は共同で、2016年里海づくりを実践する人材を育成するために「かがわ里海大学」を設置しました。
ゴーフィールドの会長で環境省の自然公園指導員でもある森田は、この里海大学の講師を務めています。里海づくりに深く関わってきた森田の活動を紹介します。

海辺はお宝がいっぱい、でもごみもいっぱいでした


海辺で拾ったシーグラス

海辺で拾ったシーグラス

海にはごみがいっぱい

海にはごみがいっぱい

森田は学生時代から海のお宝探し「ビーチコーミング」が趣味でした。
はじめてすぐに深刻な海ごみ問題に気づきます。そこで家族や仲間たちと時々ビーチクリーンアップ(海岸清掃)をしていました。


家族でビーチクリーンアップ

家族で海の宝探し

仲間とビーチクリーンアップ

仲間とビーチクリーンアップ

2009年頃からはビーチクリーンアップをイベントとして定期的に開催し始めます。
海ごみの研究を重ねると、瀬戸内海に入るごみの量と回収するごみの量、一人あたりどのぐらい海にごみを出さないようにして、どのぐらい拾えばよいかが見えてきました。
また、瀬戸内海のごみがどこまで流れ着いていて、環境や生き物にどんな影響を与えているのかも分かってきました。


香川県内各地で開催

香川県内各地で開催


楽しみながら海ごみについて学べるメニューを確立

ビーチクリーンアップのイベントでは、これらを楽しみながら学んでもらうことが大切。
森田はビーチクリーンアップを子どもの探検心をくすぐる「海の宝探し」と呼び、調査シートで海ごみを分析する仕組みを作りました。この調査シートは、国際的な海ごみの分析手法「国際海岸クリーンアップ(International Coastal Cleanup:ICC)」に基づいています。子どもにも国際的な方法を学んでもらうとともに、調査結果を学術的な資料として積み重ねることができました。


調査シート

調査シート

海ごみを分類

海ごみを分類

また、「郷土食」というもう一つのベクトルと掛け合わせたことが成功の秘訣。
ビーチクリーンアップの後に地元お母さん達が作ってくれた惣菜やごはんで昼食会。食が加わることで参加者の満足感もひとしお。これが楽しみで参加してくれるファンも増えてきました。
「ビーチクリーンアップ」+「海ごみの分類」+「環境への影響を学ぶ」+「郷土食」が体験メニューとして確立していったのです。
ちなみにゴーフィールドの社員も参加していたため、自然と海ごみについて語れるようになりました。


地元お母さん達の郷土料理

地元お母さん達の郷土料理でランチ

いのしし肉のバーベキュー

いのしし肉のバーベキュー

里海づくりを広めていくプロフェッショナルの育成をお手伝い

2013年に香川県が「里海づくり」を本格化。
これまでのビーチクリーンアップなどの活動が香川県庁の里海グループ担当の目に止まり、森田に里海大学の講師の声がかかりました。

香川県は、かがわ里海づくり協議会の設立やセミナー、清掃活動やワークショップなどさまざまな取り組みを開始。中でも里海づくりを広めていくためプロフェッショナルを養成することが早急の課題でした。そこで2016年から「里海プロガイド養成講座」を開設。実際にエコツアーのガイドとして活躍している小前昭二さん、松野陽平さんとともに森田も講師を勤めることになったのです。



講座の目標は、地域で活躍するプロガイドとして基礎知識を備えた人材を育成することです。
受講生は、里海ツアーを体験しながら、地域の強みや魅力を活かしたアクティビティを作成。プログラムづくりから、リスクマネジメント、ファシリテーション術、情報発信の仕方など、ガイドに必要な基礎講座を全般的に学ぶことができるものでした。
それは1泊2日✕3回のまさに合宿のような講座。
余談ですが、合宿では夜なべ談義も充実していたそうで、1回、2回、3回と回を重ねるごとに夜遅く明け方まで熱く語り合っていたそうです。
ゴーフィールドの滝井も講座の修了生の1人。その後、自然体験イベントで森田をサポートしています。

2016年、2017年の里海プロガイド養成講座の修了生が少しずつ増えてきて、現場でガイドやファシリテーターとして活動しはじめます。それによって里海について知りたい楽しみたい、子どもも参加できる「一般向けコース」のメニューも充実しました。海の生き物観察講座や海ごみ講座、里海の恵み料理教室、漂流物や貝殻でのクラフト講座などは人気の体験になっています。


修了生がガイドとして活躍

修了生がガイドとして活躍

海の生き物観察

海の生き物観察

貝殻でのクラフト講座

貝殻でのクラフト講座

企業CSR活動と里海づくりをマッチング

もう一つ仕掛けたことは、企業CSR活動と里海づくりをマッチングさせたことです。
地域貢献したいと考えている企業は多いものの、どんな活動が地域に喜んでもらえて、かつ社員の達成感を得られるか、担当者は悩んでいるのではと考えました。
そこでビーチクリーンアップと海ごみ調査と地元のお母さんたちが作った郷土料理の食事会をセットにして提案。
香川県内で先駆的にCSR活動に取り組む四国日立グループ様は、この里海体験が社員の経験や気づきになっていると評価をしてくれています。社員の皆さんは子ども連れで参加していて親子で環境問題を考えるきっかけにもなっています。


四国日立グループ様

四国日立グループ様


夢を目指して、今日もどこかで熱い思いを語っているでしょう


熱い思いを語る森田

2017年度の里海づくりの全講座の参加者は513人。2018年は29講座が予定されています。
香川の里海づくりのキャッチコピーは「1000年先の未来へ」。まだまだ里海づくりは始まったばかり。
ゴーフィールドの森田の夢である、美しい海を瀬戸内海から。自然に敬意を抱きながら海や山で遊び、暮らす日。それを目指して、今日もどこかでごみを拾い、思いを熱く語っているかもしれません。

次回のブログでは、夏休みに開催中の「ウミゴミラの海ごみ研究室」をご紹介します。

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